FXトレードの際、通貨の値動きを左右するのが米雇用統計・FOMCといった経済指標です。
これらの発表タイミングでは、プロトレーダーでさえ手を止めるほど相場が荒れるため、EA運用においても損失を抑える対策が必要になります。
経済指標対策のカギを握るのがカレンダーに基づいた「EAの停止タイミングの管理」です。
経済指標の発表に基づくEA運用のポイント
- 曜日ごとに警戒すべき指標が異なるため、運用ルールを曜日別に作る
- EA本体の実績・ドローダウンを確認し、安定性の高いものを選ぶ
- 経済カレンダーで毎朝の指標チェックを習慣にする
- 損益だけでなく「なぜその結果になったか」をログに残す
EA運用に大きな影響を与える経済指標は3つありますが、それぞれ発表される曜日と時間が決まっているため、発表の前後にEAを止めれば不要な損失を抑えながらの資産形成が見込めます。
この記事では、「経済指標カレンダーを活用した損失を抑えるEA運用法」について解説します。
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“いつ・何を・どれくらい”がわかれば怖くない!経済指標の見方
| チェック項目 | 見る理由 | 確認のポイント | 参考サイト |
| ① 発表時間 | 相場の急変リスクを回避するため | 日本時間で何時に発表されるか | Investing.com 経済カレンダー |
| ② 通貨別 | 取引通貨との関連性を確認するため | USD/EUR/JPYなど自分が扱う通貨 | FX Street |
| ③ 影響度(重要度) | 市場への影響が大きい指標を見極めるため | ★の数や「高・中・低」で表示される | Forex Factory |
(経済指標チェックリスト)
経済指標を見るときに確認すべきは「発表時間」「関連通貨(通貨別)」「影響度」の3つです。
発表時間の確認は、相場の急変を回避するうえで欠かせません。経済指標が発表される前後には、短時間で相場が大きく動きやすくなるため、その前後はEAの稼働を止めたほうが安全な資産形成が見込めます。
次に見るべきは関連通貨です。自分が取引している通貨に関係する指標かどうかを確認することで、影響を受けやすいイベントに絞って対策が立てやすくなります。
たとえばUSD/JPYを取引しているなら、米国や日本の経済指標を見ると、相場への影響度が高く、トレード判断の精度を上げやすくなります。
そして、影響度(重要度)の把握も見落とせません。多くの経済カレンダーでは「★の数」や「高・中・低」などで指標の重要性が示されます。
影響度が「高」とされる指標の発表時刻前後は、相場が乱高下する可能性を前提にポジション管理を見直す必要があります。EAを使用している場合は、誤作動や損失を防ぐために、稼働の一時停止やロットの調整といった対応を検討するとよいでしょう。
全部の指標を追う必要はない|「影響度」と「指標名」で選ぶプロの目線
| 重要度 | 指標名 | 発表元 | 特徴・内容 |
| ★★★(高) | ・FOMC政策金利 ・米雇用統計(NFP)
・米CPI(消費者物価指数) |
FRB/米労働省 など | 市場へのインパクトが非常に大きい。発表直後は為替や株式が急変動しやすい |
| ★★(中) | GDP速報値 | 各国政府統計局 | 経済成長の状況を示す。政策判断やトレンド判断の材料になる |
| ★(低) | 中古住宅販売件数 | 全米不動産業者協会 | 影響は限定的。単体より他指標との組み合わせで参考にする |
(影響度別|注目すべき経済指標)
経済指標を見る際は、まず「影響度の高い順」に見る癖をつけましょう。たとえば、FOMCや雇用統計がある日は、EAを一時停止する、裁量トレードではポジションを調整するなど、対策を立てられます。
また、米CPIのようなインフレ指標は金利政策のヒントになるため、レンジ相場からトレンド相場に転換する兆しを捉えたタイミングからトレンド型EAに変えるなど、運用戦略を変えるときの判断基準になるでしょう。
経済指標のときEAは止めるべき?|“止めどき”を見極める実務ルール

| 項目 | 内容 |
| 停止の理由 | 指標発表時は急変動やスプレッド拡大が起こりやすいため |
| 停止の目安 | 発表の30分前に停止/発表後30〜60分で再開が目安 |
| 対象の指標 | FOMC・米雇用統計・CPIなどの★3つ(高影響度) |
| 損失の事例 | 発表直前のエントリーで逆行、指値滑り、想定外の約定など |
| 最低限の対策 | 高影響度の指標は事前にカレンダーで確認し、EA停止を設定 |
(経済指標とEA停止の基本ルール|初心者が守るべきポイント表)
すべての指標に対し完璧に対処しようと思うと、見るべきポイントが多くなり判断がブレたり、本来止めるべきでない時間にEAを停止してしまうケースが見受けられます。過度にEAを止めてしまっては、利益が作れません。着実に利益を作るため、最初は重要度の高い指標に絞って対処して構いません。
EA止めるのは発表30分前に停止し、発表後30〜60分は様子を見る。これだけで、急変動による“もらい事故”の多くは回避できます。
なぜなら、経済指標発表の直前直後は、市場参加者の思惑が交錯しやすく、通常の値動きでは起こり得ない“乱高下”が一時的に発生するためです。
このため、「経済指標発表の30分前〜1時間後」を目安にEAを止めると大損を防げます。
EAで損をしないためにに!曜日別リスク度&停止ルール一覧表
| 曜日 | 指標の傾向 | リスクの目安 | おすすめ運用ルール |
| 月曜 | 指標は少なめで全体的に静か | 低 | 基本的に通常運用でOK。ただし祝日は注意 |
| 火曜 | 中規模な指標が午後に集中する傾向 | 中 | 午後の指標時間帯(14:00〜17:00)前後を要チェック |
| 水曜 | FOMC議事録など重要指標が発表されやすい | 中〜高 | ★3つの指標がある場合、30分前にEAを停止 |
| 木曜 | 米失業保険申請件数など定例の指標あり | 中 | 毎週21:30(夏時間20:30)は一時的に停止 |
| 金曜 | 米雇用統計やPMIなど超重要指標が集中 | 高 | 夜の高影響指標(21:30など)は必ず停止対応 |
(曜日別 EA運用ルール例)
月曜日は指標が少なく、市場参加者も様子見になりがちで、比較的EAの稼働に適した安定日といえます。反対に金曜日は米雇用統計などの重要指標が集中しやすく、夜の時間帯には急激な値動きが頻発します。
木曜日の「米失業保険申請件数」や、水曜日の「FOMC関連」なども、市場にインパクトを与える定例イベントとして注意が必要です。
EA運用で損失を抑えるには曜日ごとの「指標発表のリスクの高さ」に応じて、あらかじめ“稼働・停止ルール”を決めておくことが重要です。
具体的には、金曜夜は必ずEAを停止、木曜は21:30の指標前後で自動停止する設定にするなどが効果的です。
EAを“稼働させるタイミング”よりも“止めるべきタイミング”を意識することが、EA運用の安定性を高めるコツと言えます。
自動で止めてくれる安心機能|ニュースフィルター付きEAとは?

- ニュースフィルターは重要指標の前後にEAの売買を自動停止する機能である
- 多くのEAはForex Factory等の経済カレンダー情報を参照して動作する
- 重要度設定に応じて指標前後の停止を自動化できる
- 停止は発表30分前、再開は30〜60分後とする設定が基本である
- 設定ミス防止のために必ずデモ口座で動作確認を行うべきである
ニュースフィルターとは「重要な経済指標発表の前後に自動でEAの売買を停止する仕組み」の総称です。
多くのEAでは、Forex Factoryなどの経済カレンダーから情報を読み込み、あらかじめ設定した重要度に応じて動作が制御されます。発表の30分前に停止し、発表後30〜60分で再開する設定が基本となっています。
ニュースフィルター機能は、EAのパラメーター設定で「ニュースフィルターを有効にする(true)」「重要度(High/Medium)」「前後何分停止するか(例:30分)」を入力するだけで使えるようになります。
設定は複雑ではないですが、実取引でミスを防ぐためにも、ニュースフィルター機能を使う場合は必ずデモ口座で設定内容をテストしましょう。
ニュース対応型EAの見極めポイント5選
| 選定基準 | 確認ポイント | 具体的な目安 | 注意点 |
| ① ニュースフィルター機能 | 高影響度のみ停止などの細かな設定が可能か | 指標30分前停止/再開30〜60分など設定できる | 外部カレンダーとの連携精度や反映タイミングを確認 |
| ② 実績・バックテスト | 長期間で右肩上がりかどうか | 3年以上・複数通貨ペアでの検証が望ましい | 短期間の好成績のみのEAは要注意 |
| ③ ドローダウン管理 | 最大損失幅が資金許容内かどうか | 最大DD20〜30%以内が一つの目安 | 勝率だけ高いEAは急落に弱いことがある |
| ④ サポート体制 | 設定やトラブル時の相談が可能か | マニュアル・問い合わせ窓口の有無 | 放置型EAは初心者には負担になりやすい |
| ⑤ 運用コスト | VPS費用・手数料などを含め黒字化できるか | 月額固定費を把握して収益性と比較 | 無料EAでもサーバー代を忘れない |
(ニュースフィルター付きEA選びのための比較チェック表)
フィルター機能が優れていても、EA本体の運用実績やリスク管理体制が甘ければ、長期的な利益にはつながりません。3年以上のバックテストデータや複数通貨ペアでの安定運用実績があるかを確認しましょう。
また、想定外の相場変動でも資金を守るため、最大ドローダウンは20〜30%以内に抑えられているEAを使うと致命的な損失リスクを回避しやすくなります。
その理由はドローダウンが小さいEAほど、予期せぬ相場変動に耐える余力を残せるからです。
たとえば、最大ドローダウンが50%のEAでは、資金の半分を一度に失う可能性があるということです。
そのような状態でさらに相場が荒れれば、強制ロスカットや回復不能な状態に陥るリスクが高まります。
一方で、ドローダウンが20〜30%に収まっていれば、運用資金に対する余力が大きく、突発的な指標発表や地政学的リスクによる乱高下にも冷静に対処できるのです。
「何曜日に止める?」がすぐ分かる!EA運用1週間ルール表
| 曜日 | EA稼働ルール | 想定される指標イベント | 対処方針 |
| 月曜日 | 朝から通常稼働 | 指標は少なめ | 安心して稼働してOK。週初めの様子見も兼ねる |
| 火曜日 | 稼働継続(夜に注意) | 中程度の指標が増えてくる | 夜間に重要指標があればニュースフィルターで停止 |
| 水曜日 | 午後以降に警戒強化 | ADP雇用統計、在庫系指標など | 発表30分前停止、発表後60分で再開が基本 |
| 木曜日 | 夕方から慎重に運用 | 失業保険申請件数など | ニュースフィルター推奨。ポジション調整を意識 |
| 金曜日 | 午前中に稼働終了も検討 | 米雇用統計・CPIなど大型指標 | 午前中で手仕舞い、指標前は完全停止が安心 |
(曜日別 EA運用ルールの考え方)
週明けの月曜日は、重要指標が少なく市場も落ち着いているため、朝から通常稼働で問題ありません。火曜日になると、夜に中程度の指標が増え始めるため、必要に応じてニュースフィルター機能の活用を検討しましょう。
水曜日はADP雇用統計など相場を動かす指標が集中する傾向があります。経済指標前にはEAを停止し、発表後60分ほど様子を見るのが無難です。
“事前に止めて、落ち着いてから再開”という運用ルールを徹底することで、不意の急変動による損失を避けやすくなります。
木曜日は失業保険申請件数などが定例で発表されるため、夕方以降の稼働は慎重に行う必要があります。具体的には、指標30分前にはEAを停止、再開までは60分以上空けましょう。
金曜日は米雇用統計やCPIなど、週で最も重要な指標が出る日です。相場の急変を避けるため、午前中での稼働終了や完全停止を検討しましょう。
完璧じゃなくてOK!まずは1週間だけEAを動かしてみよう
- EAで稼働する「時間」と「通貨ペア」は最初に固定する
- 稼働条件を固定することで、相場との因果関係が見えやすくなる
- 毎朝、経済カレンダーを確認して重要指標の有無をチェックする
- 指標がある日はEAを止めるか、ニュースフィルターで自動対応する
- 損益の数値だけでなく、結果の要因をメモすることで改善に活かせる
EA運用においては、まず稼働する「時間」と「通貨ペア」を最初に固定しましょう。これらを固定すると、相場の動きとの因果関係を把握しやすくなります。経済指標前後の挙動や、通貨ごとの相性など、試してみないと見えない部分が浮き彫りになります。
次に、毎朝経済カレンダーを確認し、重要指標があるかをチェックしましょう。
もし指標があればEAを止める、またはニュースフィルター機能を活用するなど、対応方法を記録として残しておくと、その判断が正しかったかどうかを後から見直すときに役立ちます。
損益の数字だけでなく、「その結果になった要因」も合わせてメモすることで、自分なりの判断基準や改善ポイントが明確になっていきます。
