両建てが禁止されていない理由と規約違反の事例
XMでで両建てが認められている理由
XMでは、両建て(りょうだて)という行為が認められています。両建てとは、同じ通貨ペア(例えばUSD/JPY(ドル円)など)で、売りと買いのポジションを同時に持つことです。この行為自体を、XMは禁止をしていません。何故なら、トレーダーがこの両建てをすることで、XMが損をしないからです。この点について、詳しくご説明させて頂きます。
例えば、USD/JPY(ドル円)通貨ペアの現在の相場が、1ドル110円であったとします。ここでスタンダード口座で、1ロットのポジションを、買いで持ったとします。
この場合、XMでは、通常のスタンダード口座とゼロ口座の場合、1ロット100,000通貨です。10pips動くと、1万円の利益となります。ドル円の場合、10pipsは0.1円(1pips=0.01円)なので、110.1円に相場が上がると、1万円の利益です。逆に損となる場合は、109.9円まで下がると、1万円の損となります。
ここで両建てをした場合を考えてみます。
1ロットの売りのポジションも同時に持ちます。110.1円にあがった場合、
買いのポジション → 1万円の利益(1ロット)
売りのポジション → 1万円の損失(1ロット)
110.2円にあがった場合、
買いのポジション → 2万円の利益
売りのポジション → 2万円の損失
このように、同時期に買いと売りを同時にもつと、プラスマイナス0の結果になります。純粋には、手数料(スワップ)を取られるので、その分だけ損をします。では、トレーダーはなぜ両建てをするのでしょうか?両建てをする理由は…含み損を少なくすることにあります。
例えば先の例(1ドル110円:買い1ロット・売り1ロット)の例で考えます。売りのポジションだけ持ち、相場が逆側(上側)にあがっていった場合、110.1円になると、1ロットで1万円の損、110.2円で2万円の損となります。
どんどんあがっていくと、損失が増えてしまいます。ここで、買いのポジションも同時に持つとどうでしょう?110.1円で、プラスマイナス0、110.2円でも0です。
例えば、110.0円→110.2円→110.0円という動きを相場が見せた場合、
買いのポジション→110.2円で決済
売りのポジション→110.0円で決済
としますと、買いで2万円の利益、売りでプラスマイナス0なので、
トータルで2万円の利益となります。
買いのポジションを110.2円で決済した後に、仮に相場が上がり続けて、110.5円まで上がった場合でも、両建てをしていれば、
(1)
買いのポジション→110.2円で決済
売りのポジション→110.5円で決済(損切)
の場合と、
(2)
売りのポジション→110.5円で決済(損切)
の場合では、
- +2-5=-3
- -5
となり、(1)の方が2万円、損失が低くなります。こうして、損失を出した場合でも、損失を少なくすることができるという特徴が両建てにはあります。ポジションの利益方向と逆側に動き始めた場合に、両建ては有効な手法の1つである、といえます。更に言えば、上がり続ける・下がり続ける(上昇・下降トレンド)といった相場でない場合=レンジ相場の場合は、両建てが有効な手法の1つとなります。
なぜなら、一旦損失が出たとしても、待っておけば戻ってきて、損失がなくなるからです。場合によっては利益もでたりします。例えば、110.0円と110.5円の間を往復するレンジ相場があったとします。110.2円で買い・売りの両方のポジションを持ったとします。
110.5円まであがった時、買いのポジションを決済しますと、110.5-110.2=0.3(=30pips=3万円/lot)で、3万円の利益がでます。110.5円から下降し、110.0円になったときに売りのポジションを決済します。110.2-110.0=0.02(=20pips=2万円/lot)で、2万円の利益がでます。110.0円で再び買いのポジションをもてば、またレンジ相場であがった際に、利益を得ることが可能です。
こういったように、相場がレンジ相場でどの価格帯を行き来しているかがわかれば、両建て手法を用いれば、効率的に稼ぐことが可能になるのです。
規約違反となり禁止されている両建て
XMの両建ての中では、禁止されているものもあります。ここからは、禁止されている両建てについてご説明したいと思います。まず、何故禁止をされているか、その理由からご説明したいと思います。禁止とされているには、理由があります。一言でいえば、それをするとXMが損をしてしまうから、です。
禁止とされている両建ては、次の2つです。
・XMの別口座同士の両建て
・別業者の口座との両建て
以上について、それぞれご説明したいと思います。
例えば、先ほどの例と同様に、1ドル110円で、スタンダード口座でXMの別口座2つで、買いに1ロット、売りに1ロットポジションを持ったとします。110.1円にあがると、買いポジションは1万円の利益、売りポジションは1万円の損です。
では、112円まで一気にあがった場合を考えてみましょう。このとき、証拠金はそれぞれ10万円で取引していたとします。112円になった場合、買いポジションは20万円の利益ですが、売りポジションは20万円の損失となり、これは強制ロスカットとなります。
単純に計算してみて、売りポジションのほうは、証拠金10万-20万=-10万となり、10万円のマイナスとなります。ところが、XMにはゼロカット制度があります。マイナス分はXMが補てんしてくれる、というものです。
それによって、-10万円はXMが支払うことになります。これを続けると、ユーザーは簡単に儲けることが可能ですが、XMの損失はどんどん膨らんでいってしまいます。ですので、この場合の両建ては禁止されています。
次に、2つ目の別業者の口座との両建てを考えてみます。この場合も、同様に1ドル110円が112円に上がったときを考えます。例えば、XMで1ロット売りのポジションを持ち、Titan FXで1ロット買いのポジションを持ったとします。Titan FXのほうでは約20万円の利益になりますが、XMのほうでは20万円の損失から強制ロスカットされ、ゼロカットシステムにより10万円分の損失はXM側での負担となります。
トータルでは20-10で10万円、トレーダーが利益を得ていますが、XMが10万円の損失を出してしまいます。他業者間の両建てもこういったやり方で、XMの損失が増えていってしまうので、禁止されています。
ロスカットのリスクと対処法
XMでは、ロスカットの基準が、証拠金の20%以下に設定されています。例えば、10万円の証拠金がある場合、損失が膨らみ2万円以下の証拠金になる(8万円以上の含み損)になると、ロスカットされます。
これを防ぐために、両建ても有効な手段となっています。なぜなら、ルール内の同一口座、同一通貨ペアでの両建てを行うと、XMの場合は証拠金が0になるからです。
例えば、証拠金10万円でスタンダード口座で1ドル110円の相場で買いに1ロット、売りに1ロット持った場合を考えます。この場合、証拠金がどちらに動いても、証拠金が0である為、ロスカットは起こりません。
例えば110.8円まで一気に相場が動いたとしても、通常であれば買いは8万円の利益、売りは8万円の損失となり、売りのポジションだけをもっていた場合、強制ロスカットとなります。
110.0円で売りのポジションだけを1ロットもち、110.8円まで一気にあがってしまった場合は、強制的にロスカットになります。これを防ぐためには、110.7円あたりで買いのポジションを1ロットもちます。そうすると証拠金が0になり、ロスカットを防ぐことができます。
ただリスクを考えれば、スタンダード口座で10万円の証拠金でドル円通貨ペアを考えた場合、110.0円から110.8円は、頻繁ではないですが1日で動いてしまう可能性のある価格差であります。
ですので、1ロットはポジションが大きいと思われます。0.1ロットであれば利益は10分の1になりますが、損失も10分の1になるので、0.8円の動きですと、8,000円の利益、または損失になり、ロスカットにはなりずらくなります。8円動かないとロスカットしない計算になります。
緊急事態の時には、同じロット数だけの逆ポジションをもち両建てを行うことは、リスク管理としては有効な手法になりますが、それ以前にロスカットの危険があるだけのポジションをもたないほうが、リスク管理としては適切であるといえます。
ただ8円の上下という点で考えても、どこかで戦争が始まった等、世界情勢が大きく変わった際には短期的でも動いてしまう可能性もあります。その場合は、片方のポジションだけをもってしまった場合は、ロスカットされてしまいます。
絶対にロスカットを防いでいきたい、という場合には、常に同一口座、同一通貨ペアで両建てしておいて、利益が出たときに出たほうをロスカットされないタイミングで一旦決済し、すぐに同じだけのポジションをもつ、という手法が有効ではあります。
ただこの場合の注意点としては、上昇・もしくは下降トレンドが続く場合には、決済ができず塩漬け(ポジション持ちっぱなし)の状態になってしまいます。
レンジ相場…例えば、ドル円が1ドル110円~120円の間を行ったり来たりしていて、それ以上は動いていない、といった場合には、10円動いてもロスカットされない範囲でポジションをもち、両建てを行うことは非常に有効な手法ですが、上昇トレンドで、1ドル110円からどんどんあがって、130・140円まであがりっぱなしという場合には、あまり有効な手法ではないといえます。
大きなトレンド(上昇・下降)がきている場合には、両建てを行うよりも、片方のポジションをもって損切りを設定して取引を行う事も、リスク管理の一つです。
両建てを解除するとどうなるのか
両建てを解除すると、証拠金は0から一気に通常の値になります。この点を充分に注意して、両建て時の決済を行う必要があります。例えば、ドル円スタンダード口座で1ドル110円だった場合に買いに1ロット、売りに1ロットを持ち、証拠金は10万円の場合を考えます。
両方のポジションを持ち続けていれば、証拠金は0の為、ロスカットはありません。
仮に、110.8円を超えた場合を考えます。
このときに、利益がでた!と考え、買いのポジションを決済したとします。システムがどちらを先に判定するかは公開されていない為、決済より先に、8万円以上の売りポジションの損失を判定した場合、ロスカットが先にされる恐れがあります。
この場合、110.7円までに一旦決済しておくとよいです。110.7円で買いポジションを一旦決済すると、7万円の利益がでます。でた直後に再び1ロット買いのポジションをもてば、証拠金は0になりロスカットはされません。証拠金も10万円から17万円にあがります。
ただこの場合、更に相場があがり続けた場合を考えると、売りのポジションの損失が111.3円を超えた時点で強制ロスカットの対象になってくるので、強制ロスカットされるラインを常に意識して取引する必要がでてきます。
ギリギリのラインでの資金管理は、儲かる額も大きいですが、1度失敗してしまえば一気にロスカットになるので、リスクは大きいと思われます。安全なリスク管理を行うことを考えれば、持つポジションのロット数を抑えめにして取引するか、ロスカットされないくらいの充分な証拠金を入れておくことが必要であると思われます。
両建てによる証拠金0になるシステムは、かなり魅力的ですし、有効な手法ではありますが、そこに頼りすぎてしまいロット数をギリギリでもたないように、余裕をもったロット数と証拠金で常にトレードしていくことが、自分の資産を守ることにもつながりますし、安全な範囲内でのより充実したトレードLIFEをおくれるのではないか、と思います。
両建てが禁止されていない理由と規約違反の事例・まとめ
両建てが禁止されているFX業者もかなりある中、XMは両建て自体は禁止されていません。ただし、同一口座・同一通貨ペアというのは必要ですので、この点に留意して両建て手法は用いましょう。
また、両建て手法自体が、レンジ相場でのみ威力を発揮します。トレンド相場の場合、両建てはもたないほうが無難です。今の相場がどんな相場かを、相場分析で分析してみて、レンジ相場の場合、両建て手法を用いてみてもよいかと思います。
また、小さな時間帯ではトレンドでも、大きな時間枠ではレンジ相場という場合もあります。その場合は、証拠金とロット数を確認し、ロスカットされない範囲をあらかじめ計算した上で、安全な範囲でのポジションをもち、トレードするスタイルがオススメです。
通貨ペアによっても、トレンド・レンジが発生しやすい場合や、発生した場合にどの程度動く可能性があるか、も違ってきますので、レンジ相場の通貨ペアを選ぶことも大事です。
安全な資金管理をした上で、効果的な両建て手法を用いれば、利益も積み重ねることを狙えます。