takahのEA開発ばなし・その2 P/L分布図を考える

こんにちは、takahです!

前回は私がつくったBO検証用EAの話をさせていただきましたが、今回は私がEAを開発する際によく見る「P/L Growth by duration」についてお話しさせていただきます。

 

「P/L Growth by duration」とは

日本語に訳すと「期間別損益分布図」のようになるでしょうか。長ったらしいのでここでは「P/L分布図」と呼びます。簡単にいえば、ポジション保有時間と損益額を1取引ごとにプロットした表(分布図)のようなモノで、EAのバックテストデータをQuantAnaryzerというツールに読み込ませると表示させることができます。

私はEAの開発をするとき、必ずこのP/L分布図を見ながら開発するようにしています。実はこのP/L分布図はEAの性格をよく表しており、これを見れば大方どのようなEAか想像がつきます。逆のいい方をするならば、自分が想定するP/L分布図にならなければ、そのEAは作者の意図とは違う取引をしていることになるかなと思っています。

 

HANAのP/L分布図

それでは、私がつくったEAのP/L分布図をご覧いただきながら、簡単にご説明させていただきます。
まずはHANAのP/L分布図です。

P/L分布図の見方ですが、縦軸が損益、横軸がポジション保有時間を表しています。そして、緑の点が利益、赤の点が損失を表しています。

このP/L分布図で私が着目する点を①から③で表してみました。

このP/L分布図は一見すると全体にある程度散らばって点がプロットされています。特に①の利益に当たる部分、②の損失に当たる部分が満遍なくプロットされているのが分かります。
このことから、比較的決済ロジックが有効に働いていることが分かります。(HANAはTPやSLを過去のローソク足を参考に算出していますので、そのことが影響している可能性もあります)

また、バックテストデータによるとHANAの平均利益が31.55、平均損失が-45.12となっていますが、P/L分布図を見ると利益は概ね0~50の間に集約されているので平均利益31.55は妥当性があるように思えます。しかし、損失は結構ばらつきがあるので、平均損失-45.12は参考程度に捉えておいた方が良いと考えられそうです。こういったことは単に数字を見ているだけでは分からない点ではないかなと思います。

そして③の部分ですが、ここに損失が固まっているのが見て取れます。これは、ポジション最大保有時間で決済されていることを表しています。特に赤(損失)に多くプロットされていることから、HANAにおけるポジション保有時間の役割は損切りに使われることが多いのが分かります。

これらのことから、HANAは

  • 利益、損失共にどの時間帯でも満遍なく決済ロジックが利いている(可能性がある)
  • ポジション最大保有時間による決済では損切りするケースが多い

といった特徴が推測できそうですね。

 

SoRAのP/L分布図

続いて、SoRAのP/L分布図をご紹介します。

SoRAのP/L分布図を見ると、①と②の場所に多くの点がプロットされているのが分かります。

①はSLの場所を表しており、SLで損切りをするタイプのEAであることが分かります(SoRAは決済ロジックが1つしかなく損切ロジックを搭載していないからです)。ちなみに、SLと同じように利益でTPのような一定の値にプロットが集中していないのは、トレイリングストップを含めた決済ロジックが有効に働いていると判断することができると思います。

②の部分はHANAと同じポジション最大保有時間後の決済を表しています。HANAと違い、SoRAの場合は緑(利益)にも多くプロットされていることから、ポジション最大保有時間は利益、損失共に有効に働いていることが分かりますね。

これらのことから、SoRAは

  • SLによる決済(損切り)をすることが多い
  • 利確については決済ロジックが有効に働いている
  • ポジション最大保有時間による決済では利確、損切どちらでも利いている

といった感じになるかなと思います。

 

SoRAの番外編

最後に、もう1つだけP/L分布図をご紹介します。

こちらは現在開発中のUSDJPY用のSoRAです。

SoRAは元々他通貨ペア、他時間足用EAとして開発をしているのですが、その中のUSDJPY版です。

これをご覧いただくと、SoRA(EURUSD版)と比べSLによる決済が少なくなっているのが分かります。また、左側にプロットが集中していることから短期間での決済になっていることが見て取れます。

つまり、USDJPY版は短期決済させることを目標につくっております。

 

このように、EAをP/L分布図を通して見ることで、そのEAの性格、特徴が何となく分かってきます。それは、EAにおける投資にも役立つ情報ですので、ぜひ、ご利用なさっているEAのP/L分布図をご覧になることをおススメいたします!