日本がFXのレバレッジ規制を10倍までにしたい意図
日本国内のレバレッジ規制10倍に関する報道が最初にされたのが、2017年9月27日の日経新聞によるものです。
その報道内容によると、金融庁は外国為替証拠金取引(FX)のレバレッジを引き下げることを検討しており、現行の最大25倍から10倍程度に下げる案が有力になりました。
その理由として
・外国為替相場が急変動した際、個人投資家や金融機関にとって想定を超える範囲の損失を抱えるリスクが高まっていると金融庁が判断
・国内の取引高は約5千兆円に上る一方で、FX業者への規制は銀行などに比べ緩い面がある
上記の理由などを背景にして、投資家と金融機関の保護を名目にレバレッジ10倍への規制が議論されることとなりました。
そもそも、レバレッジ規制と個人投資家や金融機関が抱えるリスクにはどのような関係があるのでしょうか?
その関係性を知る為には、まずはレバレッジについて簡単におさらいしておく必要があります。
レバレッジとは、自己資本を担保(証拠金)にすることで、用意した自己資本以上の取引を行うことができる仕組みのことを指します。
現在の国内FXのレバレッジ規制は最大25倍となっていますが、これは簡単にいうと自己資本×25倍の資金を運用することができるという意味になります。
例えば、用意した投資資金が10万円であっても、250万円分の資金を動かすことが、FX投資では可能となるのです。
10万円×レバレッジ25倍=250万円
何故そのようなことが可能になるのでしょうか?
それは、10万円という資金を証拠金としてFX業者に担保することで、FX業者に資金を借りる形で投資を行っているからです。
つまり、レバレッジが高いほど、元々の投資資金を大きく上回った金額で投資を行えるため、利益の金額もそれ相応に大きくなる半面、損失を抱えるリスクも大きくなります。
この損失を抱えるリスクが大きくなっていると金融庁が判断したことが、レバレッジ規制が議論されることになった大きな理由の一つです。
実際に最初のレバレッジ規制が行われる2010年まで、日本国内でも数百倍のレバレッジをかけることが可能でした。
しかし、運用額が大きすぎるFX取引の失敗によって多額の追証(借金)を抱えてしまった個人投資家が相次ぎ、その結果としてレバレッジが2010年に50倍に大幅規制、そして2011年8月に現在の25倍にまで規制されることになったのです。
そのような歴史的背景や、近年インターネットの普及により個人投資家が増加していることによって外国為替の取引額が年々増加しているという現状を踏まえ、25倍から10倍へと更なるレバレッジ規制が検討されることとなりました。
レバレッジ規制を10倍までが見送りになった理由
国内の個人投資家と金融機関の保護を理由にレバレッジ規制が議論されることとなりましたが、実際に有識者会議を複数回行った結果、レバレッジ規制10倍は見送られることとなりました。
何故レバレッジ規制10倍は見送りとなったのでしょうか?
その背景には、レバレッジ規制についての議論が行われた第2回会合・第3会合で、FX業界関係者からの猛反発を受けたという事情があります。
レバレッジ規制10倍は、一見すると個人投資家の保護の観点から正しいように思われます。
しかしながら、レバレッジ規制によって多額の追証発生などから投資家を保護することができる反面、投資資金が十分でない個人投資家の投資機会が奪われるという懸念がありました。
例えば、ドル円レート110.00を1ロット(1万通貨)取引する場合、レバレッジ25倍の場合は約¥44,000の資金から取引することができます。
しかし、レバレッジが10倍に規制されてしまうと、ドル円110.00を同じ1ロット取引するのに、約¥110,000を用意する必要が生じるのです。
例)
110.00×1ロット(1万通貨)÷レバレッジ25倍=¥44,000
110.00×1ロット(1万通貨)÷レバレッジ10倍=¥110,000
これは個人投資家にとって、今後FX取引をするために必要な資金が増えることになり、実質的にFX投資の機会が奪われることを意味します。
また、国内FX業者にとってこのようなレバレッジ規制は、現在でも高レバレッジを利用できる海外のFX業者に顧客が奪われてしまう可能性が高くなることを意味するため、重要な問題となっていました。
そのため、GMOクリック証券の鬼頭弘泰社長やセントラル短資FXの松田邦夫社長を始め、業界の関係者から反対意見が続出。
鬼頭弘泰社長は、「店頭FX取引ではレバレッジが10倍を超える取引が大半で、仮にレバレッジ規制が強化されれば、マーケットへのインパクトは極めて大きい」と証言しています。
これら多くの反対意見を踏まえ、金融庁はレバレッジ規制が必要ないと判断、その結果としてレバレッジ規制10倍が見送られることとなりました。
レバレッジが低い事によるメリットとデメリット
数回の有識者会議を経て、これまで通り25倍規制で固定されることになったレバレッジですが、現在でもレバレッジに関する議論は続いており、「レバレッジは低い方が安全だ!」という意見も個人投資家などからよく聞かれます。
それでは、レバレッジが低いことによるメリットは、投資家が抱えるリスクを抑制することができる他に、どんな利点があるのでしょうか?
レバレッジが低い事によるメリット
為替相場の変動の影響による損益の変動が小さくなる(安定する)
レバレッジが低いと資金に対して損益の変動の割合が小さくなるため、急変動の多い為替相場であっても損益の推移が安定します。
例えばドル円110.00を1ロット(1万通貨)取引した場合、1円動くと1万円の損益が発生することになります。
それでは、レバレッジ25倍・レバレッジ10倍・レバレッジ1倍、それぞれのケースでどのように損益の割合が変わってくるかを、具体的に見てみましょう。
レバレッジ25倍⇒44,000円に対して1万円の変動=約22.7%
レバレッジ10倍⇒110,000に対して1万円の変動=約9.1%
レバレッジ1倍⇒110万円に対して1万円の変動=約0.1%
このようにレバレッジが低い取引ほど、自己資金に対する変動リスクの割合が小さくなります。
ロスカットがされにくくなる
投資資金(証拠金)がFX業者の要求する必要証拠金維持率を下回ると、それ以上の損失(追証)から投資家を守るために業者によって強制的にマイナスポジションが決済(ロスカット)されることがあります。
この業者によるロスカットは、取引額に対してかけられているレバレッジが低いほど発生しにくくなります。
国内FX業者の多くは、証拠金維持率が100%を下回った段階で強制的に決済されるように設定されています。
例えば、ドル円110.00を1ロット(1万通貨)取引する場合に必要な証拠金は¥44,000ですので、投資資金の残高が¥44,000を下回った段階で決済されることになります。
もし、¥54,000の投資資金でドル円110.00を1ロット買った場合は、1円(100pips)以上下がった段階でロスカットされることになります。
\1,100,000→\1,090,000
=-¥10,000の損失(¥54,000→¥44,000)
このように、少額資金にレバレッジを大きくかけて取引する場合、僅かな変動でもすぐにロスカットされるリスクが高まります。
一方でレバレッジ1倍の取引であれば、約96円分(9,600pips)下げるまでロスカットはされません。
なので、スワップ(金利)目的の取引など、ゆっくり投資資金を運用したい方には低レバレッジでの投資が向いています。
多額の追証が発生する可能性が低くなる
レバレッジを低く抑えることによる最大のメリットが、自己資金を超えた多額の追証が発生する可能性が低くなる点にあります。
最近は少なくなってきましたが、突然報道されたニュースなどによって、為替相場が大きく変動し、一瞬で数円単位の価格が動くことがあります。
こういった事態に直面した場合、業者によるロスカットが間に合わないこともあり、最悪の場合は自己資金を超えた損失(追証)を業者側に支払う必要が生じる場合があります。
極端な例ですが、資金¥1,000,000でドル円100.00を20ロット(20万通貨)買っていたときに、突然米中関係が悪化したとのニュースが報道され、ドル円の価格が100.00から90.00まで一気に下がったとします(-1000pips)。
この場合の損失額は200万円となるため、最悪の場合は投資資金とは別に、100万円近くの追証を支払う義務が生じることになりかねません。
しかし、100万円をレバレッジ1倍で運用していた場合は、自己資金が90万円に減るだけで追証は発生しません。
このようなリスクを避けることができるのが、低いレバレッジで取引することによるメリットです。
レバレッジが低い事によるデメリット
取引をするのに多額の自己資金(証拠金)を用意する必要がある
レバレッジが低い場合、十分な取引を行うためには多くの証拠金を用意する必要があります。
FX取引は通常、「ロット」と呼ばれる単位で取引することになります。
1ロットの取引数量は業者によって異なりますが、基本的には1ロット=1万通貨で、最近増えてきた少額投資向け口座では1ロット=1,000通貨となっています。
ドル円110.00の場合は、1万通貨の取引に必要な証拠金が約¥44,000、1,000通貨の取引では約¥4,400の証拠金が必要な計算になります。
なので、国内FXで10万通貨(10ロット)の取引になると、約\440,000の証拠金を用意する必要があるため、なかなかハードルが高いです。
そのため、少額資金でFX取引をしたいという方は、高レバレッジをおススメします。
高レバレッジと比べると証拠金維持率が低い
レバレッジが低いほど、単純により多くの証拠金が必要になるため、それに伴って高レバレッジの取引と比較すると証拠金維持率が低い状態になりがちです。
例えば投資資金¥100,000で、ドル円100.00を1ロット(1万通貨)保有した場合、レバレッジ25倍だと証拠金維持率は250%となります。
これが海外FXで100倍のレバレッジを利用した場合、同じ金額でも証拠金維持率は1,000%となります。
証拠金維持率の計算方法
有効証拠金÷必要証拠金×100%
損失が小さい分、得られる利益も小さくなる
レバレッジが低いとあまり大きな金額の取引ができないため、必然的に運用額に対して損益の割合が少なくなります。
1万通貨の取引では、1円(100pips)動いてようやく1万円の利益(もしくは損失)となるので、数銭(数pips)単位で利益を狙っていくスキャルピングでは、一回の取引につき数百円程度の利益となります。
約5万円の投資資金で取引を行っていることを考えると、やや少ない印象を受けるかもしれません。
一方で、同額の投資資金を100倍のレバレッジで運用した場合は、5万通貨近い取引ができます。
その場合は1円(100pips)動いた場合は5万円、数銭(数pips)単位の取引でも何千円という利益が得られる計算です。
なので、少額投資で大きな利益を得たいという方には高レバレッジを使った取引がおススメです。
海外FX業者の高レバレッジがオススメな人
ここまで低レバレッジのメリット・デメリットを解説してきましたが、次は海外FXの高レバレッジに興味がある方に向けて、高レバレッジ取引の特徴について解説させていただきます。
以下のような方には海外FX業者の高レバレッジが向いています。
・少額資金で投資したい
・リスクを積極的にとって大きな利益を狙いたい
・スキャルピングトレードでしっかり稼ぎたい
少額資金で投資したい
高レバレッジ最大の魅力が少額資金で大きな金額を動かせるという点です。
代表的な人気海外FX業者のXMTradingの場合では、最大888倍のレバレッジがかけられます。
投資資金が1万円あれば、800万円以上(8万通貨)の金額が動かせる計算です。
更に、投資資金が1,000円という一般的な国内FXでは取引ができない資金量であっても、海外FXなら8,000通貨の取引が可能です。
そのため、少額資金でFX投資をしたい方や、FXの練習をしたいという方には高レバレッジの海外FXがおススメです。
リスクを積極的にとって大きな利益を狙いたい
高レバレッジをフル活用した“ハイレバトレード”では、投資資金が少なくても大きな利益を狙うことができます。
先ほどのXMTradingの例では1万円で約8万通貨の取引が可能なので、1円動けば8万円の利益を出すことができます。
実際にTwitterなどを見ると、ハイレバトレードによって10万円の資金が100万円になったという報告を行っているトレーダーが数多くいます。
ハイレバトレードは利益が大きくなる分損失額も大きくなるのでハイリスクハイリターンな取引にはなりますが、大きな利益を狙いたい方には向いています。
スキャルピングトレードでしっかり稼ぎたい
高レバレッジと最も相性が良いのがスキャルピングトレードです。
スキャルピングトレードとは短い期間の間に何度も取引して、数銭(数pips)単位の取引を行うトレードスタイルのことです。
高レバレッジを活用して、大きめのロットで取引することによって、一日数銭程度の利益でも、金額にすれば数万円程度の利益にすることもできます。
なので、スキャルピングトレードでしっかり稼ぎたいという方は、国内FXではなく海外FXをおススメします。
まとめ
国内個人投資家や金融機関の保護を目的としたレバレッジ規制10倍ですが、実際のところ、FX業界の関係者から強い反発が出たことによって見送られることになりました。
10倍という低レバレッジは投資家を多額の追証のリスクから守る反面、これまでより多くの必要証拠金を用意する必要が出てくるため、結果的に資金量の少ない個人投資家を国内のFX業者から締め出すことになりかねないからです。
確かに低レバレッジはメリットもありますが、デメリットも数多く存在します。
そこで最近では、今回ご紹介したXMTradingを始め、高レバレッジが利用できる海外FXを利用する個人投資家が増えてきました。
高レバレッジの大きなメリットは少ない証拠金でより多くの資金を動かせることにあります。
なかには、「レバレッジが大きい分、多額の追証を負うリスクがあるのではないか?」と心配になられた方もいるかもしれません。
しかし、XMTradingを始めとするゼロカットを採用している海外FX業者では、追証の発生リスクがありません。
大きな資金量を動かせるにもかかわらず、自己資金を超えた損失が発生しないので、高レバレッジでも安心なのです。
レバレッジの大きさによるメリットとデメリットはそれぞれなので、低レバレッジの国内FXか、高レバレッジの海外FXを利用するかは、ご自身の投資計画と照らし合わせて決めることが大切といえるでしょう。