ロスカットとは建てたポジションがFX会社によって強制的に決済される売買です。
追証といって追加で証拠金を投入することで強制ロスカットが避けられる場合もありますが、一般的にはある一定の水準に達するとロスカットが行われることが多いです。中にはポジションを保持するために追証をする人もいますが、追証は精神的にも経済的にも大きなダメージを受けます。投資家が余力以上の損失を出さないためにも強制ロスカットの仕組みがあるのです。
FX会社によって証拠金維持率が違う
証拠金維持率とはポジション必要証拠金に対する純資産額の割合のことで、一定割合を下回ると強制ロスカットになります。
証拠金維持率はFX会社によって異なり、証拠金維持率が20%の会社もありますし、50%の会社もあります。また、レバレッジが高くなると、その分証拠金も必要になります。レバレッジが25倍程度の状態で暴落や暴騰があると一気に価格が変動しますので、ロスカットされる可能性も高くなります。
FX会社 | ロスカット基準 |
DMM.com | 証拠金維持率50%以下 |
GMOクリック証券 | 証拠金維持率50%未満 |
インヴァスト証券 | 証拠金維持率100%以下 |
楽天証券 | 証拠金維持率50%以下 |
様々なFX会社がありますが、概ね100~20%の範囲で証拠金維持率が設定されています。
例えば、1ドル100円で10,000通貨で取引している場合、レバレッジ25倍だと40,000円の証拠金が必要になります。この状態で1ドル99円になった場合、10,000円の損失が出ます。そうすると証拠金は40,000-10,000=30,000円となり、最低証拠金は40,000円を下回った(証拠金維持率が100%を下回った)ため、証拠金維持率が100%以下で決済されるFX会社では強制ロスカットが発生します。
しかし、維持率が20%以下のFX会社ではロスカットされずにポジションを持ち続けることが可能です。証拠金維持率が20%以下のFX会社を選ぶ方法もありますが、ポジションを持ち続けられることは、ポジションが増える反面、損失を確定した時の金額が高くなるため注意が必要になります。そのため、証拠金維持率が100%でロスカットされる場合の方が資産を守る意味では安全と言えます。
これらのことから、ロスカットされないためにはレバレッジを低く設定しておくことをお勧めいたします。
証拠金維持率別ロスカット計算方法
例えば、証拠金10万円で1万通貨アメリカドルを買った場合、ポジションを立てた時に1ドル100円だった場合、純資産は10万円、注文証拠金は0円です。
この時、ポジションを建てるのに必要な証拠金は100×10,000÷25で40,000円となります。
そうした場合、証拠金維持率は
証拠金維持率=(純資産-注文証拠金)÷ポジション証拠金×100
= (10万円 ― 0円) ÷ 4万円 × 100
= 250% となります。
もし、仮に3円の円高になり、1ドルが97円になったとすると
証拠金維持率 = (70,000円 ― 0円) ÷ 40,000円 × 100
= 175% となります。
更に6円の円高になり、1ドル94円になったとすると、
証拠金維持率 = (40,000円 ― 0円) ÷ 40,000円 × 100
= 0% となり強制ロスカットされます。
強制ロスカットの水準が20%の時には、9円程度の下落まではロスカットされませんが、それ以上の円高になった場合は強制的にロスカットされます。
証拠金を上げることで、証拠金維持率は上がりますので、大幅に円高となったとしてもポジションを維持することは可能になります。追証というのはこの証拠金維持率を上げるために行います。ただ、この追証は大変精神的にも追い詰められますので、サラ金で借りたり、会社のお金を横領してしまうというような人も中にはいるようです。
そのため、最初から証拠金には余裕をもって取引するように心がけましょう。ロスカット水準が低いFX会社はロスカットの可能性は低くなりますが、損失も大きくなります。ロスカットされた時の残金が多い方が安全と考えるのであれば、100%でロスカットされるFX会社を選ぶなど、あなたの投資スタイルにあったFX会社を選ぶようにしましょう。